|
2006年度 社団法人岡崎青年会議所
理事長 石川敏郎
新たな価値を生み続ける団体として
創発による運動展開を目指して
はじめに
幸福の追求は私たちひとり一人に平等に認められている権利です。私たちは自らがより充実した毎日を送りたい、より素晴らしい人生を実現したいと思い描いているのではないでしょうか。しかし、現在の社会環境は皆が「もっと幸せになりたい」と願いながらもその願いを実現するにはあまりにも厳しい状態にあります。
私たちを取り巻く現在の社会環境は、世界的に見れば資源の枯渇、生態系の破壊等の環境問題、戦争・テロリズム等の国際紛争、日本国内では少子化・高齢化による社会活力の減退、犯罪の増加・凶悪化による治安の悪化、「公」を常に意識して行動することを美徳としてきた日本人としてのアイデンティティの消失、国家財政の破綻懸念、いずれ降りかかって来るであろう大災害への不安等々、すぐに思い浮かぶだけでもこれだけの問題を抱えています。
現在まで私たちは自分たちの周りで発生する問題に対して、基本的には上(行政、施政者等)から受けた施策をできる限り忠実に実行する(又は従う)ことで、課題を解決してきた歴史を持っています。現在このような統治型(カバメント型)の課題解決方法に無理が生じてきているのは明らかであり、これからの社会開発はそこに関係する人たちの合意と知恵の結集をもってなされる時代に入りつつあります。
本年度はこの合意と知恵の結集によって新たな価値、システムが生まれることを運動の基本コンセプトとし、これに「創発(emergence エマージェンス)」というキーワードを与えます。創発(emergence エマージェンス)とは、局地的な相互作用を持つ、自律的な要素・関係者が多数集まることによって、その総和とは質的に異なる高度な価値やシステムが生じる現象のことを意味します。まちづくりにおいてもLOM運営においても活動エリアの方々、メンバーなどの関係者が能動的に参画することで新たな価値を生み出し社会利益に貢献することを目指します。
地域に必要とされ続ける団体として
創発型コミュニティ事業の推進
(社)岡崎青年会議所は2000年までの内部型から外部発信型の運動展開を経て、積極的に利害関係者との協働を推進する「外部協働型」の運動展開をしています。
本年度はこの5年間の流れを継承し,住民にとって身近な生活圏である小学校区を基本単位にコミュニティ事業を推進します。
地域のコミュニティにはそれぞれに異なるいろいろな問題・課題があります。それはすでに顕在化しているものもあるでしょうし、まだ多くの人が気付いていない潜在化しているものもあるでしょう。本年度のコミュニティ事業はその地区に存在する課題、協働するテーマを地域の関係者からのリサーチによって把握することから始めます
学校関係者、自治組織等を始めとして、その地域のまちづくりに日々尽力されている組織、個人は沢山存在しています。自立的・自律的にその地域で活動している関係者と協働できるテーマで地域開発に取り組むことで、その地域に新たな価値、システムを創出し、地域力向上をもたらすことを目標に活動します。
そして、新たに地域で生み出された(もしくは高められた)価値が何であるのかを様々な角度から検証しながら地域力向上の取り組みを応援してゆきます。
NPO型まちづくりの推進
2003年1月、おかざき自然体験の森をフィールドに市内16の市民団体が結集して設立した「おかざき環境教育フォーラム・わっか」も2006年で創立4年目を迎え、昨年特定非営利活動法人の法人格を取得することができました。
20世紀は公と民間企業が経済界に並存する混合資本主義の時代といわれてきました。公(行政・公営企業)がやった方がよいことは公で、民(民間企業)がやった方がよいことは民で、が社会のあるべき姿とされてきました。
21世紀は、民でも公でもやれることはできる限り民で、民の中でも営利企業が向かない分野はNPOで、という時代の趨勢になっていきます。
地域開発、社会開発を標榜する団体として、本年度は引き続きNPO法人「おかざき環境教育フォーラム・わっか」の運営をサポートします。そして狭域で課題解決型・価値創造型コミュニティ事業と、広域で有目的型のNPO支援事業を政策の2本柱とします。
一般公募事業の継承
私たち(社)岡崎青年会議所の強みは、45年に亘る歴史と数々のまちづくり運動の実績に裏打ちされた地域社会からの信頼感です。ここ近年は前述の通り(社)岡崎青年会議所は狭域型コミュニティ事業と有目的型NPO支援事業に実績と強みを発揮していますが、元来はおかざき市域全域を対象とする事業に大きな実績を残してきた団体です。
本年度は活動エリア全域を対象とする事業をただ継続するだけでなく、今の時代に必要とされる要素を加味しながら継承、再構築、発展させていくことで、おかざき全域での青少年育成活動を推進します。
会員に必要とされ続ける団体として
経営力開発の推進
私たち(社)岡崎青年会議所のメンバーは、この地域に生活し続ける一員として「自分たちのまちをもっとよくしたい」「公共の利益に貢献したい」という意識、意志を強弱の差こそあれ持っています。しかし経済情勢も企業の淘汰が明確になりつつある中、自らの社業以外の活動に時間を取ることを周囲に理解してもらいにくいメンバーも多いと思います。
社業の発展とJCの理念である明るい豊かな社会づくりは片方が犠牲になって成り立つものではありません。本年度はメンバー各々が企業で活かせることを積極的に提供することで、メンバーの個人的ニーズに応えていきます。
そして、メンバーの社業が発展することは利益を社会に還元することだけでなく、メンバーの参画意識の向上につながり、政策系・会員拡大への波及効果を生みます。
また、私たちの生活する愛知県西三河は全国でも地元経済が元気な地域です。この地に存在する青年会議所のメリットを享受できる機会として地元経済界との連携を経営力開発事業に取り入れます。
JCメンバーとしての基礎知識・基本技能の向上
私たちメンバーはJC運動に「まちづくりがしたい」「自分を成長させたい」「もっとネットワークを広げたい」等のいろいろな意志を持って参画しており、メンバー各々によって志向性は異なりますが、根底にはメンバー間の友情と信頼関係がJC運動を支えています。
この強固なつながり、信頼がJCの持つ組織風土を長年に渡って形成してきました。この人的な風土には時代と共に変化させてゆくものと、短いタームの判断で変えてはならぬものが存在しています。
本年も新たに私たちの仲間が加わってくれました。私たち先輩メンバーはこの歴史と伝統を誇るJCの魅力と組織風土を新たな仲間に伝えてゆかなくてはなりません。本年度は新たに入会したメンバーを迎えるための研修系委員会を設置し、JCメンバーとしての基礎研修を重点項目に位置付けます。
また、新入会員に次代の担い手としての動議付けを行なうことと同時に、人間力開発を機軸としたメンバー向け研修の充実も図ります。
青年会議所がメンバーに提供できる最高のサービスは「学び」ではないでしょうか。青年会議所のメンバーだからこそ受けることができる研修が質の高いものであればあるほど(社)岡崎青年会議所の魅力は向上します。
出向、対外事業への積極的な参画
人は人と切磋琢磨することで成長します。自らの成長の過程で多くの人と議論し共に行動する機会を「出向」という制度で青年会議所はメンバーに与え続けてきました。
同じまちで育ち生活するLOMメンバー間での学びだけでなく、この出向制度を十分に活用して人材育成を図ります。違うまちに育ち、異なる経歴であってもJayceeであることで分かり合えて切磋琢磨できる「出向」という機会を人材育成の絶好の機会ととらえて活用します。また、出向者には出向先で得たことが自身並びにおかざきのまちづくりに有益な効果をもたらすことを期待します。
また、本年は(社)日本青年会議所に中島和生君を日本の魂(こころ)創造グループ担当常任理事として輩出します。(社)日本青年会議所に会務担当常任を輩出するのは創立以来初めてのことであり、本年は(社)日本青年会議所を身近に感じることができる年としてこの機会に得られるものをメンバー全員で享受したいと思います。
社会に評価され続ける団体として
活動の積極的なPRと情報開示
私たちの活動は公益に貢献することだけでなく、その活動をオープンにすることが求められています。公益法人として開示していかなくてはならない情報は今後増加していく傾向であり、今までは任意で開示していたものも開示が義務化されてくる可能性があります。「法律で決まったから開示する」「指導を受けたから公開する」という姿勢は捨て、積極的に私たちの活動をPRします。
また公開・発信する情報はあくまで受け手志向で発信します。私たちしか理解できない表現、供給者志向の発信になっていないかを常にチェックすることを徹底します。
「いいことをやっているから自然に浸透するだろう」という考えを捨て、本当に必要とされている情報が何かを的確に判断し、発信者側が攻めの姿勢を忘れない広報を行ないます。
公益法人として相応しい正確な組織運営
私たちは社団法人として愛知県から正式な認可を受けている公益法人です。先達の努力により、(社)岡崎青年会議所は非常に正確かつレベルの高い組織運営を継承してきました。財務、事務局業務には当然のことながら例年を継承する正確さとシンプルでわかりやすくハンドリングのよい運営を求めます。
また正確で運営しやすいだけでなく、法規制・IT化への対応等、時代の一歩先をゆく団体として迅速かつ先の変化を予測した対応を期待します。
会員拡大への注力
メンバーは私たち(社)岡崎青年会議所の最大の財産です。JCは40歳という定年制をもっていますが、これは常に若々しい感性で組織を運営できるという反面、毎年会員を入会いただかなければ運動が途絶えることを意味します。
どれだけまちづくりがうまくいっても、地域に必要とされ続けていても私たちの志を継承してくれる人材が途絶えたらこの団体は消滅します。
活動の命脈を握る重要分野と位置付けて会員拡大を推進します。
会員拡大は成果が入会数という明確な数字で計られる分野です。卓越した成果をあげるには、@競争による活性化、A部門間協力によるチームワーク、B明確な目標設定、C従来にない斬新なアイデアの採用、が必要です。
会員は人数さえいれば良いというものではありませんが、多くの人がこの(社)岡崎青年会議所に集うことは必ずや近い将来にこの団体に更なる活力と多様性を与えるものと信じます。
おわりに
私を含めメンバーは「何か」を期待して(社)岡崎青年会議所に所属しています。
それはまちづくりに携わることの充実感であったり、自らの成長であったり、新たな出会いであったり、人によって様々なものでしょう。
そしてこの地域社会は我々(社)岡崎青年会議所に社会開発の担い手としての「何か」を期待してくれています。
(社)岡崎青年会議所はその期待に応え続け、この地域に対して、所属するメンバーに対して新たな価値を生み続ける団体でありたいと思います。
2006年度(社)岡崎青年会議所が今の時代に必要とされる新たな価値を生み出してゆけるか否かは共に参画するメンバーの皆様が情熱、意志をどれだけ結集していただけるかにかかっています。
成果は意志によって支配されます。
「何としても二階に上がりたい、どうしても二階に上がろう。この熱意がハシゴを思いつかせ、階段を作りあげる。上がっても上がらなくても構わない、と考えている人の頭からハシゴは生まれはしない。2階に上がりたいと誰よりも強く願う者だけが2階に上がることができる」
歴史と伝統を誇る(社)岡崎青年会議所の第46代理事長としてその重責を胸に強い意志を持って務めてまいります。メンバー、地域社会の皆様を始めとする関係各位のご支援、ご協力を心よりお願い申し上げます。 |